コーヒーの2050年問題
コーヒーの生産地は北緯25度から赤道を挟んで南緯25度(コーヒーベルトともいわれる)の暖かい地域に集中しています。生産量が多い順に1位ブラジル、2位ベトナム、3位コロンビア、4位インドネシア、その他の地域ではエチオピア、ホンジュラス、グアテマラ、ウガンダ、ルワンダ、アメリカ(ハワイ島)等、世界70か国以上で生産されています。
コーヒーは非常に繊細な作物であり、栽培する場所は気温や降水量、標高などが関係しています。年によっては、霜や干害、病害虫の大量発生などにより生産量が大きく減少することがあります。
そんなコーヒーは環境の変化を受けやすく、気候変動はコーヒーの産地にとって重大な問題を引き起こすと懸念されています。
気温や湿度の上昇は、さび病というコーヒーの木に最も深刻な病気を発生させます。さび病が進行するとその木はやがて枯れてしまいます。降雨量の減少による干ばつも問題です。経済的苦境等により生産者が減少することは、収穫量の減少や、品質の低下につながります。このまま地球温暖化で環境の変化が続くと、2050年にはアラビカ種の栽培地(主にブラジルをはじめとする中南米等)が現在の50%にまで減少するとWCR(World Coffee Research)は警鐘を鳴らしています。

コーヒー豆について
世界のコーヒー消費量は、2013年の約89億㎏から2020年には約99億㎏に増加しています。生産国内で消費されるものはわずか30%です。数年前からインドネシア、フィリピン、ベトナム、中国などの消費が増えています。
コーヒーの品種は主にアラビカ種とロブスタ種の2つに分けられます。アラビカ種のコーヒーを生産している国は、ブラジル、コロンビア、エチオピア、ホンジュラス、ペルー等です。世界のコーヒー豆生産の約6割弱がアラビカ種です。アラビカ種は標高が高くなると育ち安く、標高が低くなると害虫や病気にかかりやすくなります。アラビカ種豆の価格は、ロブスタ種豆の約2倍です。ロブスタ種のコーヒーを生産している国は、ベトナム、ブラジル、インドネシア、ウガンダ、インド等です。アラビカ種豆よりも安価で、多くの果実を収穫しますが、アラビカ種豆と比べると品質が劣るといわれています。
コーヒーは輸出商品であり、コーヒー豆の価格は安定的ではありません。依然として貧困にあえぐ農家も存在しています。コーヒー栽培に従事する人の約7割が女性です。


コーヒーのGVC(グローバル・バリューチェーン)
GVCとは、企業活動における業務の流れを工程・タスク単位で分割し、業務の効率化や競争力の強化を目指す手法です。気候変動対策として、CO2排出量の削減に貢献できると期待されています。また企業による生産農家の支援や、生産効率を高めることは国境を越えた知識と技術移転を可能にすると考えられています。
例1 スターバックスのC.A.F.E.プラクティス
2004年、スターバックスは環境・社会・経済に配慮した高品質なコーヒー豆の栽培や加工を推奨するガイドラインC.A.F.E.プラクティスを導入しました。C.A.F.E. (Coffee And Farmer Equity) プラクティスと名づけられた購買ガイドラインの指針は、労働環境の改善、児童労働の規制をはじめ、土壌侵食や汚染防止などの生物多様性の保全に対する取り組みを含めた包括的かつ測定可能な基準です。サプライヤー (コーヒーの供給業者) がこのガイドラインの基準を遵守しているかを確認するために、スターバックスでは第三者機関の評価システムを導入しています。たとえば、コーヒー生産者に対価が公正に分配されているかを実証するために、サプライヤーに支払い証明書の提出を求めています。現在は小規模の家族経営農園から大規模農園まで、スターバックスのコーヒーサプライチェーンに広く採用されています。
https://www.starbucks.co.jp/responsibility/ethicalsourcing/cafe_practice.html
例2 ネスプレッソAAA サステイナブル・クオリティ™ プログラム
2003年にNGO団体 レインフォレスト・アライアンスと一緒に立ち上げた「ネスプレッソAAA サステイナブル・クオリティ(持続可能品質)™ プログラム」は、高品質なコーヒー豆の生産を長期にわたって確保するための、農作業改善とともに、コーヒー生産者の生活向上に貢献することを目的に作られました。コーヒー生産者にネスプレッソのバリューチェーンに加わってもらい、システム全体の効率を向上させるネスプレッソ独自の生産モデルです。ネスプレッソはワークショップを通して 500以上のコーヒー生産者に、基本的な経理、内部の信用管理、組織マネジメントおよび財務問題についての研修を行い、融資を得るための戦略的計画、明確なガバナンスおよびノウハウを伝授、農園に対し森林再生プログラムとして原種木を提供、耐性の強いコーヒーの木の再生、学校の建設などの活動をしています。
https://www.nespresso.com/ncp/positive/jp/ja#!/sustainability/aaa-sustainable-quality
日本企業ではUCCがジャマイカやエチオピア、ルワンダ等で生物多様性を保全する活動を行っています。詳細は下記のHPをご覧ください。
気候変動、水質汚染、残留農薬問題、森林伐採、貧困、雇用問題、差別問題とコーヒーだけをみても様々な課題があります。国、企業、個人がそれぞれのできることを実践することが持続可能なコーヒーの発展につながると期待します。