アメリカの国鳥ハクトウワシは、白い頭と白い尾、巨大な黄色の嘴をもつ大型の鳥類です。

ハクトウワシ(アラスカ沿岸部)
全長は71㎝~96㎝、体重は3~6.5㎏あります。幼鳥はまだらな茶色と白の羽毛をしており、約4年で成鳥になります。主に川や湖、沿岸地域に生息しています。ハクトウワシは、アメリカ全土やカナダ、メキシコ北部に広く分布しています。
ハクトウワシの巣は、一般的に海岸線や川、十分な食料が調達できる大きな湖の近くに作ります。巣の大きさは、幅1.2m~1.5m、深さ60㎝~1.2m、重さは約454㎏にもなります。フロリダ州で記録された最大のハクトウワシの巣は、直径約2.9m、深さ約6m、重さ約2,720㎏ありました。

ハクトウワシの巣
繁殖は、通常、年に一度1~3個の卵を産み、約30日後に孵化します。雛は約3カ月以内に飛べるようになります。若いハクトウワシは、病気や食糧不足、悪天候、車や送電線との衝突などのために、最初の年の死亡率は50%になることもあります。
ハクトウワシ保護の取組
ハクトウワシは、絶滅の危機にさらされたことがあります。その原因は、生息地の破壊と劣化、違法な狩猟、農薬の使用による河川の汚染・食料源の汚染によるものでした。以下に、アメリカのハクトウワシの取組をご紹介します。
歴史~サクセスストーリー
- 1782年 アメリカの国鳥に選ばれる
- 1800年代半ば~後半 生息地の減少と乱獲等により個体数が減少
- 1940年 「Eagle Act」が制定され、種の殺害、販売、所持が禁止される
- 第二次世界大戦直後 DDT(農薬)が広範囲に使用されるようになる
- 1963年 ハクトウワシの営巣ペアは417に減少(アメリカ48州全体)
- 1966年 絶滅危惧種保護法により、「選択された種や野生生物」を保護するために土地の取得を承認する
- 1969年 絶滅危惧種保護法の改定
- 1972年 ハクトウワシが「Migratory Bird Treaty Act」に基づき保護を受ける。この法律はアメリカがカナダ、日本、メキシコ、ロシアと署名した渡り鳥資源の保護に関する条約を実施する法律
- 1972年 アメリカでDDTが禁止される
- 1973年 絶滅危惧種法が制定され、ハクトウワシが絶滅危惧種リストに入る
- 1982年 南西部ハクトウワシの回復計画
- 1983年 北部州ハクトウワシの回復計画
- 1986年 太平洋ハクトウワシの回復計画
- 1989年 南東州ハクトウワシの回復計画
- 1990年 チェサピーク湾ハクトウワシの回復計画
- 1995年 ハクトウワシの数が徐々に回復
- 2006年 ハクトウワシの営巣ペアは9,789と推定されるほど回復
- 2007年 絶滅危惧種のリストから削除される
ハクトウワシが絶滅しそうになった理由
- 森林の開拓・伐採により生息地の減少
- 彼らが食べる鳥類の乱獲により減少
- 家畜を襲う鳥と誤解されていたため、銃で撃たれた
- 主にDDT(農薬)により、成鳥のハクトウワシに農薬成分が蓄積され、不完全な薄い殻の卵を産むようになった(雛が孵化しない)等

湿地で休憩中のハクトウワシ
このようにアメリカでは、ハクトウワシに関する法整備や、DDTの禁止、国民の保全活動による生息地保護を実施しました。その結果、ハクトウワシの個体数は増加しました。現在、ハクトウワシは絶滅危惧種ではありませんが、「Eagle Act」、「Migratory Bird Treaty Act」、「Lacey Act」、州や自治体の保護など複数の法律によって保護されています。
U.S. Fish and Wildlife Serviceの2021年3月24日のレポートによると、ハクトウワシの個体数は、2009年の4倍になったそうです。営巣ペアは71,400以上あります。ハクトウワシの総個体数(2020年レポート)は48州316,700に増加しています。その半数がアメリカの中西部と南部の一部(Mississippi Flyway)に集中しています。