小笠原諸島

SDGs

小笠原は1972年に一部が国立公園に指定され、2011年に一部が世界自然遺産に登録されました。東京の南南東約1,000kmの太平洋上の30余の島々で、別名ボニン諸島(Bonin Islands)と言われます。島々は大陸と陸続きになったことがない「海洋島」で、独自の進化を遂げた動植物や生態系が広がっています。在来種に占める固有種の割合は、植物で36%、昆虫類で28%、陸産貝類では94%になります。ホエールウォッチングやシュノーケリングなどのエコツアーが盛んで、小笠原エコツーリズム協議会などが頑張っています。枕状溶岩などの独特の海岸地形、国内では数少ない沈水カルスト地形などを見ることができます。西表島もそう呼ばれていますが、小笠原も東洋のガラパゴスと呼ばれます。

小笠原諸島は、小笠原群島(聟島列島、父島列島、母島列島)、西之島、火山列島(硫黄列島)で構成されています。行政区は東京都小笠原村で、総人口は2,569人、うち2,124人が父島に、445人が母島に在住しています。1,466世帯の小さな村です。2020年には小笠原でもコロナも発生しており、20代の2名の来島者と島内在住者2名の計4名が感染し、島外に搬送されていました(2020年10月現在)。

小笠原に観光に行くのは簡単ではありません。父島・母島には空港がなく、船でしか行くことができません。東京竹芝桟橋から片道約24時間かけ「おがさわら丸」で訪問するのが一般的です。おがさわら丸は小笠原の父島に3泊停泊し、東京に戻るので、乗っていった船で帰るという最短の旅行をしたとしても、5泊6日の期間がかかります。小笠原丸の料金は片道22,570円(2020年)にっぽん丸や飛鳥Ⅱ等クルーズ船で訪問する方法もあるようです。父島と母島間は「ははじま丸」で2時間移動します。公共交通を使っての観光はここまでです。

1987年、兄島に空港を建設する計画が返還20周年記念式典で発表されました。それを踏まえ、国立公園指定時も、その兄島の空港予定場所は普通地域とされていました。2000年ごろには、テクノスーパーライナーという高速船を就航させる話がありましたが、2005年に計画断念となりました。

海上自衛隊父島基地には揚陸スロープが設置されていますが、急病人および東京都知事や国務大臣など要人の搬送を目的とする場合に限られています。

父島洲崎(1,000m級滑走路)、兄島(1,600m級滑走路)、父島時雨山(しぐれやま)を予定地とする空港建設がそれぞれ検討されていましたが、2006年の環境省による「小笠原公園計画変更」により、兄島案の可能性はなくなりました。開発と自然保護のせめぎあいポイントでしたが、兄島に関しては自然保護が優先されました。

小笠原父島長崎展望台