Great Rift Valley にあるケニア湖沼群/Nakuru国立公園

SDGs

ケニア中部にあるエレメンタイタ湖(Lake Elmenteita)、ナクル湖(Lake Nakuru)、ボゴリア湖(Lake Bogoria)は、「Great Rift Valley にあるケニア湖沼群」として総面積は32,034ヘクタールが2011年に世界遺産に登録されています。この3つの湖はラムサール条約にも登録されています。

ナクル湖は、ケニアにある19の国立公園の一つとして指定されています。

名前位置構成資産面積緩衝地帯
Lake ElementaitaSO 26 33.00
E36 14 24.00
2,534ha3,581ha
Lake NakuruSO 21 32.00
E36 5 8.00
18,800ha
Lake BogoriaNO 15 30.00
E36 5 8.00
10,700ha

この地域には、絶滅危惧種の鳥類13種が生息しています。コフラミンゴ(Lesser Flamingo)の最も重要な採食地であり、モモイロペリカン(Great White Pelican)の主要な営巣・繁殖地でもあります。また、クロサイ、ロスチャイルドキリン、クーズー、ライオン、チーター、リカオンなど、多くの大型哺乳類も生息しています。ゾウはいないそうです。3つの湖は塩湖のアルカリ湖で、ソーダ湖と言われます。ソーダ湖は湖水内の種の多様性は低いものの、藻類等が多くあり、来訪する鳥類や動物の個体数は多くなるようです。フラミンゴはアルカリ湖や塩湖を好みます。

Great Rift Valleyは日本語では大地溝帯(だいちこうたい)と言われ、主にアフリカ大陸を南北に縦断する巨大な谷です。幅35-100キロメートル、南はモザンビークから北はヨルダンまで、総延長は7000キロメートルあります。 アフリカ大地溝帯は、地球深部から上昇する熱いマントルプルームが大陸地殻を持ち上げて引っ張ることで形成されました。この「リフティング」という過程で大陸が引き裂かれ、巨大な谷状の地溝が形成されています。大地溝帯では火山活動や地震が活発で、将来的にはアフリカ大陸が東西に分裂し、新たな海洋が形成されると考えられています。大地溝帯には、キリマンジャロ山5,895m、ケニア山5,199mといった高山の他、タンガニーカ湖、ビクトリア湖、マラウイ湖、ズワイ湖、シャーラ湖、チャモ湖、トゥルカナ湖などの湖沼が存在します。

ナクル湖を訪問

8月にナクル湖を訪問する機会を得ました。ナイロビから車で3時間、ナクル湖北部の公園入口に向かいました。公園入場口で60ドルの入場料を支払いました。普通の車ではナクル湖国立公園区域には入れないため、サファリカーやバスで向かう必要があります。ローカルの人たちは30人ほど乗れるバスで向かっていました。価格は安いようですが、その日は満席だったため乗車できませんでした。そこで現場で最大7名乗れるサファリカーを120ドルで雇いましたが、それら手続きに約1時間かかりました。ナイロビでツアーに申し込んだ方が簡単に行けそうです。

13:00に公園内にサファリカーで入場です。サファリカーは屋根が上がり、高い位置から動物を探すことができます。公園北部の入場口から入り、ナクル湖東岸を下り、湖南にあるMakalia滝まで往復します。4時間ほどで往復できます。入場してナクル湖まで5分ほど下るドライブのうちに、サンショクウミワシ、ホオジロカンムリヅル、モモイロペリカン、アフリカヘラサギ、クラハシコウなど珍しい鳥類がいました。

鳥達との出会い

サンショクウミワシ(African Fish Eagle)日本や東アジアのサンショクウミワシに似ています。主に魚を食べるワシで、一夫多妻制。ケニア・ジンバブエ・ザンビアの国鳥。アフリカ版ハクトウワシ。

ホオジロカンムリヅル(Gray crowned crane)ウガンダの国鳥となっています。世界には15種類のツルが生息し、日本では7種のツルが記録されているそうです。鹿児島県出水市のツル観測センターで写真が掲示されていますが、出水に飛んできたことはないそうです。

サギ類 この写真のサギは3種類います。コサギ(黒い嘴)、チュウサギ(黄色い嘴)、アフリカヘラサギ(顔の一部分が赤く、黒いへら状の嘴)です。

クラハシコウ(Saddle-billed Stork)クラハシコウは、鞍のような黄色い模様がある嘴が特徴的です。中南米にいるジャビルーに似ています(ジャビルーには黄色の鞍のような模様はなし)。

モモイロペリカンの群れ モモイロペリカンののど袋の容量は10L以上にもなるそうで、魚をチームで追い込み、一斉にすくう漁をします。もともとはピンク色ではなく、甲殻類や魚の色素でよりピンク色になるそうです。翼を広げると約3.6mあり、野生でも約20年生きるそうです。

ライオンに遭遇

ゆっくり鳥を見ていると、ガイドにガイド仲間からライオンがいると連絡が入りました。近くだったので、急いでライオンがいる場所に移動したところ、数台のサファリカーが止まっており、その近くの木の上にライオンがいました。雌ライオンが木の上でゆったりしています。木の枝が邪魔になり、なかなか良い写真が取れません。雌ライオンはあまり動きませんでしたが、20分程見ている間に、向きを変えること1回、立ち上がること1回、伸びをすること1回見ることができました。

雌ライオン
樹木の上で休んでいる雌ライオン

雌ライオンまで30mくらいの距離で8台のサファリカーが集まりましたが、特に意に介さず、ゆっくりしていました。時折茂みの方に注意を向けていました。

サファリカーで訪問すると車高があり、近い目線の高さで見ることができます。セダンの自家用車で入場している人もいましたが、目線が低いと動物を見つけること自体がむずかしそうです。ちなみに公園内は車から出ることは禁止されています。

その後ナクル湖の東岸を、インパラ、シマウマ、サバンナモンキー、バッファロー、ペリカン、バブーン(ヒヒ属)、カバなどを見ながら南下しました。

湖南岸には、数百羽程度のフラミンゴが来ていました。そこは河口部で、フラミンゴビューと呼ばれていました。コフラミンゴやオオフラミンゴがいました。ナクル湖には400万羽のフラミンゴが飛来すると言われますが、ガイドによると最近はそんなに来ないそうで、フラミンゴ飛来シーズンも明確でなくなってきているそうです。ペリカンも多く来ており、木の上にたくさん止まっていました。カンムリワシもいました。

その後さらに滝まで南下し、途中キリン、サイ、バッファローの群れ、シマウマの群れを見ことができました。サイはなかなか見られないそうですが、ラッキーなことに2頭見ることができました。道路にはサイを見るために車の渋滞ができていました。

ナクル湖は国立公園として指定され、ラムサール条約登録地で、世界遺産でもあります。多くの鳥が飛来し、サイやライオンなど大型哺乳類もいます。しかし、区域は湖の周辺のみで、あまり広い陸地はありません。そのため象は区域内で生存することができないそうです。

ナイロビからナクル湖に向かう途中の一般道路の脇には、野生のシマウマの群れがいました。自然と人の距離が大変近いです。地下水・表層水の汚染問題、森林保全課題など、人と自然の共生が大きな問題になっているようです。

ペリカン
人が住むエリアに非常に近いところにいる。
フラミンゴの後ろに街が見える。
インパラの雌。道路にも出てきます。
シマウマ

サファリカー。上からのぞくことができる。シロサイのいた付近には車が20台以上あつまり、渋滞が発生していた。

表情豊かな野生動物

ホロホロ鳥(Helmeted guineafowl) 茂みから歩いて道路に現れました。鳴き声がホロホロ聞こえることから名前が付いたそうです。時速35㎞以上で走り、飛べるがあまり飛ぶことはないそうです。欧州では高級食材です。

ベルベットモンキー(Vervet Monkey)オスの陰嚢が鮮やかな水色をしています。陰茎は赤だそうです。かなりずるがしこく性格が悪く、人間に近いようです。人間用ワクチンや神経研究に利用されいるそうです。

アフリカスイギュウ(African buffalo)(ケープバッファロー)ビッグファイブ(ライオン、ゾウ、サイ、ヒョウ、バッファロー)の一つ。ナクルル国立公園では、ゾウ以外の4種を見ることができます。ケープバッファローとはアフリカスイギュウの基亜種で大型でサバンナに生息している水牛のことを指します。

アジアスイギュウもバッファローです。アメリカやポーランド等に生息している水牛に似た動物はバイソンです。ただし、アメリカやカナダの一部地域ではバッファローと言うこともあるそうです。バイソンには長いモフモフの毛や大きなこぶがあります。

オオフラミンゴ(Greater Flamingo)ナクルル国立公園には、オオフラミンゴとコフラミンゴが飛来します。オオフラミンゴは大きくてピンク色が淡く、黒い翼が目立ちます。

ヒメヤマセミ(Malachite Kingfisher)アフリカでよく見られるカワセミの仲間。日本で見られるヤマセミより小型です。

アフリカヘラサギ(African Spoonbill)全身白く、顔が赤く、足はピンク色で、くちばしの先端がへら状に広がっています。ナクルル国立公園のヘラサギはアフリカヘラサギです。日本ではクロツラヘラサギやヘラサギをまれに見ることができます。出水の鶴に交じって、ユーラシアヘラサギを見たことがありますが、本当にラッキーでした。

シロサイ(White rhinoceros)小鳥(ウシツツキ)が背中に乗っています。ナクルル国立公園ではシロサイとクロサイの両方がいます。クロサイは木の葉や枝を食べるそうです。ビッグファイブの一つ。

サバンナシマウマ(Plains zebra)見つけやすく、公園外の道路そばを歩いていました。

カバ(Common hippopotamus) 水面から目、耳、鼻を出して浮いています。見た目はかわいいですが、危険な動物です。カバは赤い汗をかくそうですが、見ることはできませんでした。赤い汗は日焼け止めや保湿効果があるそうです。

ぺりカンのなる木 ナクルルには多くのモモイロペリカンが飛んできています。安全な木の上で集団で休息しているそうです。ナクルルにはハイイロペリカンもいます。

アフリカトキコウ(Yellow billed Stork)長くてまっすぐな黄色の嘴、赤い顔が特徴的です。嘴は自動ドア方式で、何かが触れた瞬間に反射的に捕まえるそうです。

アヌビスヒヒ(Olive baboon)霊長類トップクラスの知能があり、序列のある群れで生き、権力や同盟・裏切りの考えがあるヒヒだそうです。

イボイノシシ(Common warthog)顔にあるいぼが特徴で、足が速いイノシシです。草を食べる際は写真のように膝立ちの姿勢になります。ディズニーのライオンキングに登場するプンバァのモデル。

インパラ(Impala)写真はインパラの雄。オスの角はS字状にねじれています。垂直ジャンプは3m以上、水平ジャンプは10m以上とび、ヒョウやチーター、ライオンが捕まえにくいようジグザグに走ります。角は飾りで、角で戦うことはないそうです。

トムソンガゼル(Thomson’s gazelle)インパラより一回り小さい雄のトムソンガゼルです。チーターの主食ですが、時速80㎞で走り、チーターと正面勝負できるそうです。赤ちゃんも生まれて数時間後には走ることができるそう。

キリン(Giraffe)首が長いため血圧は人間の2倍(約260/160mmHg)。心臓も11㎏あります。立ったまま寝て、1日20分程度の睡眠でOKとのこと。出産時は2mの高さから赤ちゃんが落ち、生後1時間以内に立って歩きだす。視界が広く360度見ています。日本平動物園で餌を食べているところを見ましたが、舌が長く紫色をしていました。

ナクルル国立公園の3つの世界遺産登録基準 

(vii) 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。

(ix) 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。

(x) 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。